光のもとでⅠ
 マンションの入り口が見えてくると、私は蒼兄に声をかける。
「ロータリーで降ろしてもらってもいい?」
「いいけど……?」
「ありがとう」
 本当は駐車場まで一緒に行っても良かったのだけど、私はコンシェルジュに用があった。
 エントランスで迎えてくれたのは高崎さん。
 私は真っ直ぐ高崎さんの元へ向かう。
「高崎さん……ここでクリーニングのサービスもしてましたよね?」
「承っております」
 高崎さんはにこりと笑い、佇まいを直してかしこまった対応をする。
「これをお願いしたいんです」
 私は手に持っていたジャケットをカウンターに置いた。
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