光のもとでⅠ
 スタジオ内を観察していると、前方からゆっくりと小柄な人が歩いてきた。
 真っ直ぐこちらへ向かってやってくるけれど、顔はキャップ帽のツバで見ることができない。
「彼が久遠です」
 園田さんの言葉に緊張が走る。
 男性とはわかっているけれど、女性ではないかと思うほどに小柄な人だった。
 黒尽くめの格好だとより華奢に見える。
 このスタジオにいる人は全員真っ黒な格好をしていた。
 黒尽くめに黒いキャップ帽はここのスタッフのデフォルトなのだろうか。
 そんなことを考えていると、久遠さんがキャップ帽を取った。
 露になった顔に驚く。
 憧れの人がこんなに身近にいる人だとは思いもしなかった。
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