光のもとでⅠ
「あー……あちこちにお触れ出したり挨拶に回るの、時間も手間もかかるし、諸事情もろもろ訊かれるのも面倒だから」
「唯兄、それ……ひとえに面倒って言ってる気がする……」
「あれ? そう……? でも、本社のほうにはちゃんと書類提出してるしIDカードも再発行かけてあるし……。押さえるべきところだけ押さえとけば問題なくない?」
楽観的すぎる物言いに絶句したのは私だけで、久先輩は苦笑しつつも「オーナーからお咎めないんだったら大丈夫じゃないですか?」と答えた。
「だよね? でもま、身分詐称くらいはできるように前のIDカードも取ってあるし、使えるようにデータも生かしてあるんだけどね」
にこりと天使のような笑みを浮かべた唯兄に、悪魔の尻尾が見え隠れした気がするのは私だけなのかな。
私は心の中で切に願う。
どうか、唯兄が犯罪者になりませんように、と――。
「唯兄、それ……ひとえに面倒って言ってる気がする……」
「あれ? そう……? でも、本社のほうにはちゃんと書類提出してるしIDカードも再発行かけてあるし……。押さえるべきところだけ押さえとけば問題なくない?」
楽観的すぎる物言いに絶句したのは私だけで、久先輩は苦笑しつつも「オーナーからお咎めないんだったら大丈夫じゃないですか?」と答えた。
「だよね? でもま、身分詐称くらいはできるように前のIDカードも取ってあるし、使えるようにデータも生かしてあるんだけどね」
にこりと天使のような笑みを浮かべた唯兄に、悪魔の尻尾が見え隠れした気がするのは私だけなのかな。
私は心の中で切に願う。
どうか、唯兄が犯罪者になりませんように、と――。