光のもとでⅠ
「でも、夫婦は寄り添って生きるものでしょう?」
「夫婦だって変わりはしないさ。人はしょせんひとりで生まれひとりで死ぬ。私の相方も死んだぞ?」
「え……?」
「おや、そんなに珍しいかね? 私は未亡人ってやつさ。いい響きだろう? 寡婦(かふ)とも寡(やもめ)ともいうなぁ……。おぉ、そうだ。後家(ごけ)という言葉もあったか!」
面白そうに言葉を並べ、またニヤリと笑う。
「……美鳥さんって……変わってますよね?」
ポロ、と言葉をもらすと、美鳥さんは目を輝かせて喜びだした。
「変で結構! それは私にとって最上級の褒め言葉だ! さて、一件落着したところで、翠葉くん、あっちへは行けそうかね?」
"あっち"はリビング、だ。リビングには間違いなくさっきの三人と栞さんがいる。でも、美鳥さんはお腹を空かせていて、それでも私の話を聞いて対処法まで教えてくれた。
「……美鳥さん、自分の時間を生きるって、どんな感じですか?」
「ううん? 何も難しいことなどないぞ? ただマイペースに生きればいいだけだ」
「……それで周りとペースが合わなくても?」
「もちろんだ。人とペースが違うことも個性といっていいと私は思うのだが?」
「……鈍感も個性?」
「ははは! そんなことを気にしていたのか。いいじゃないか、鈍感! なんてすてきな響きだろう。うん、実に素晴らしい!」
「夫婦だって変わりはしないさ。人はしょせんひとりで生まれひとりで死ぬ。私の相方も死んだぞ?」
「え……?」
「おや、そんなに珍しいかね? 私は未亡人ってやつさ。いい響きだろう? 寡婦(かふ)とも寡(やもめ)ともいうなぁ……。おぉ、そうだ。後家(ごけ)という言葉もあったか!」
面白そうに言葉を並べ、またニヤリと笑う。
「……美鳥さんって……変わってますよね?」
ポロ、と言葉をもらすと、美鳥さんは目を輝かせて喜びだした。
「変で結構! それは私にとって最上級の褒め言葉だ! さて、一件落着したところで、翠葉くん、あっちへは行けそうかね?」
"あっち"はリビング、だ。リビングには間違いなくさっきの三人と栞さんがいる。でも、美鳥さんはお腹を空かせていて、それでも私の話を聞いて対処法まで教えてくれた。
「……美鳥さん、自分の時間を生きるって、どんな感じですか?」
「ううん? 何も難しいことなどないぞ? ただマイペースに生きればいいだけだ」
「……それで周りとペースが合わなくても?」
「もちろんだ。人とペースが違うことも個性といっていいと私は思うのだが?」
「……鈍感も個性?」
「ははは! そんなことを気にしていたのか。いいじゃないか、鈍感! なんてすてきな響きだろう。うん、実に素晴らしい!」