光のもとでⅠ
 この時点で十二点。
 残りの八点はポストカードとしてテーブルに飾るものだという。
 選ばれた二十点はすべてポストカードにされ、ウィステリアホテルのマークがついた仰々しい箱に入れられアメニティとしてゲストルームに一セット置かれることになる。
 当初は販売するといわれていただけに、アメニティ扱いになったことに心底ほっとした。
「売られる」ことよりも「おもてなし」というサービスになるほうが嬉しい。
 自分が撮った写真がパレスに飾られるということにもまだ違和感を持っていたし、多すぎる報酬を受け取ることにも抵抗があったから。
 軽く息を吐き出すと、隣でパソコンをカタカタと打っていた唯兄にサクリと釘を刺される。
「それ、商売戦術のひとつだから。リィが写真集を出すときに買ってもらえるようにっていう営業の一環。通常は全国のパレスとウィステリアホテルのスイートルームにしか置かれないアイテム」
< 7,195 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop