光のもとでⅠ
 たくましく空に伸びる木を見て、深く太く伸びる根を見て、陽のもとでキラキラ輝く姿や雨を受け止める大地。
 命あるものを見て、自分もこうありたい、と思えたんだよ。
 私にとって久遠さんの写真ってそういう存在なの。
 一瞬一瞬に生けるものを切り取ったような写真たちにいつだって勇気づけられた。
 だから、やっぱりお礼が言いたい。
「善意だけを見ないように」なんて言われてしまったけど、これは善意以外に何も含まないでしょう?

 写真の選考作業が済んだのは七時を回った頃だった。
「リィ、俺、メインコンピューターのチェック行かなくちゃいけないから、俺の部屋で休んでてもらっていい?」
「あ……」
「ちょーっと待って! 姫様のカメラメンテ終わったからスタジオから取ってきます」
 あーやさんが走って会議室を出ていった。
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