光のもとでⅠ
「知らない人にはついていかない。携帯はつながる状態にしておくこと」
「はい」
 まるで小さな子が初めてお使いへ行くときのような約束を交わしてホテルを出た。

 外の空気は寒いというよりも気持ちがいい。
 あたたまりきった頬の温度が少しずつ下がっていくのがわかった。
 駅までのメインストリートは色んな明かりが溢れている。
 街路樹には青いLEDライトがチカチカと瞬き、その向こうの車道では赤いテールランプと黄色いハザードランプがチカチカと点滅しては後続車に反射していた。
 光で溢れる道を真っ直ぐ進むと駅にたどり着く。
 エスカレーターを上がり駅ビルを通過すると左側には券売所がある。
 人がこんなにたくさんいるのに、切符を買うために並ぶ人はほとんどいない。
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