光のもとでⅠ
 辺りを見回すと、ホームに降りるエレベーターの中に木田さんがいた。
 私はすぐにエスカレーターに乗りホームへ降りた。
 ホームにはちょうど電車が滑り込んできたところで、人の列がいたるところにできている。
 エレベーターの位置とエスカレーターの位置は三十メートルほど離れているため、人垣で見通しは利かない。
 けれど、じっと目を凝らすと、薄紫色の手提げ袋が電車に入るのが見えた。
 乗った――。
 そう確信を持ったとき、私は何を考えることなく電車に飛び乗った。
< 7,211 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop