光のもとでⅠ
『……わかった。でも、藤倉の駅までは迎えに行くから。向こうを出るときには連絡してほしい』
「うん、約束する」
『行っておいで。小旅行』
「……しょう、りょこう?」
「そう。一泊二日の小旅行。唯はプチ家出とか言ってたけどな」
 ここにきてようやく蒼兄の笑い声を聞くことができた。
『自分で行って帰ってくるのなら、立派な旅行。だから、行っておいで』
「蒼兄、ありがとう」
『うん、気をつけて行っておいで」
「あのっ」
『ん?』
「飲みすぎないでね?」
『大丈夫。今日はさ、環がここで飲みたいって言い出したこともあって、ウィステリアホテルにいるんだ』
「え……?」
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