光のもとでⅠ
 蒼兄はくつくつと笑いだし、「着拒」の意味を教えてくれた。
 携帯には色んな機能があり、そのうちのひとつに受けたくない人からの電話を拒否するという機能があるらしい。
 最初は意味を知らない自分が笑われているのかと思っていたけれど、違った。
 蒼兄が笑ったのは唯兄に対してだった。
『唯って翠葉が機械音痴なの知らなかったっけ? そんな機能があることすら知らないわけだから、設定のしようがないのにな。その件は俺から唯に話しておく』
 通話を切る直前まで蒼兄は笑っていた。

 電話が終わり木田さんを振り返ると、木田さんの手にはペットボトルと割り箸があった。
「お電話、終わられましたか?」
「はい。……木田さん、それは?」
「まずは席へ戻りましょう」
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