光のもとでⅠ
 蒼兄の携帯を見せてもらうと、三十七度六分と表示されていた。
 確かに、湊先生は三十八度を超えてからじゃないと消炎鎮痛剤は使わない。
 痛みが起きたときに効きづらくなることを考慮して、普段は極力使わないようにしているのだ。
「アイスノン、栞さんにもらってくる」
 言って司先輩が出ていった。
 ……やっぱり明日も学校には行けないだろうか。やっと少し体を起こしていられるようになったのに。
「……焦らなくていい。まだ固形物を口にできるようになったばかりだ。今週いっぱいは休もう。来週の月曜日を目標に定めよう」
 諭すように、なだめるようにかけられる蒼兄の声に、コクリと小さく頷いた。
 少なくともこのときまでは発熱と血圧以外に異常はなかった。まさか、ひどい頭痛に見舞われるとは思いもしなかった――。
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