光のもとでⅠ
 御崎さんは手をつなぐと同時に、ぐっと力をこめた。
 それは、最初から私がその手を頼りに歩いていいように、だと思う。
 実際、足元はとても滑るやすく、ローヒールのブーツでもつるっといってしまいそうな状態だった。
 私は何度となくその手を頼りに難を逃れた。
 開けた場所に出ると、初めて来たときと同じように更地になっていた。
 違うことといえば、建物があった場所にだけ草がなく、土が剥き出しになっている。
 土の下にはキラキラと光る霜柱が見えた。
「お嬢様、こちらです」
 木田さんの声がする方へ視線を向けると、そこにはラグが三枚重ねられた場所があった。
 ホットカーペットに電気毛布が二枚。
 それらを囲むようにステラハウスで使われていた円柱のストーブが三台置かれている。
 ラグにはバスケットも置いてあり、中にはタンブラーとマフィンなどのお茶請けが入っていた。
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