光のもとでⅠ
「こちらは本館と連絡を取るための携帯電話です」
 木田さんから携帯を渡される。
「ホットカーペットなどはすべてこちらのバッテリーから電源を取っておりますが、持って二時間ほどでしょう」
 木田さんは次の言葉を躊躇う。
「……この寒さですから、二時間以内にお戻りいただきたいというのが本音です」
「……はい」
「では、二時間いたしましたらお迎えに上がります。何かございましたらすぐにご連絡ください」
「ありがとうございます」
 先に森で待っていた人と木田さん、それから歩く補助をしてくれた御崎さんは三人揃って来た道を戻っていった。
 私はラグに敷かれたホットカーペットの上に座り、電気毛布の一枚を膝にかけ、もう一枚を肩から羽織る。
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