光のもとでⅠ
 思い出したいと躍起になっていた私は、やっと思い出せたにも関わらず、きちんと向き合うことすらできていない。
 今となっては記憶なんて戻らなければよかったのに、と思う自分もいるのだから、なんて自分勝手でひどい人間なのだろう。
「気持ちも記憶も、何もかもリセットできたらいいのに……」
 それは、「経験値」すべてをなくすに等しい。
 かけがえのないものをどれほどたくさんなくすとわかっていても、そんなバカなことを考えてしまう。
 ツカサが好き。
 でも、秋斗さんも大切な人。
 そのふたつの気持ちをどう扱ったらいいのだろう。
 ただ、もう二度と秋斗さんを傷つけることだけはしたくない。
 もう二度と――。
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