光のもとでⅠ
「ちょっと触診させてもらうからね」
 首筋や背中、肩や頭をピンポイントで触れていく」
「力抜けるかな?」
 そうは言われても、力を入れることや抜くことがどういうことなのかもわからないほどに頭が痛かった。
「司、姉さんの家に輸液と筋弛緩剤のアンプルある?」
「輸液と点滴セット一式はある。筋弛緩剤は見てみないとわからない」
「じゃ、そっちは俺が行くから司は翠葉ちゃんの首元のマッサージ頼める? それからアイスノンは取って」
「了解」
「蒼樹くんはホットタオル作って翠葉ちゃんの目に乗せてあげて」
 人の動く気配がすると、すぐに司先輩の声が降ってきた。
「翠、首元――マッサージするから触れる」
 もうキスマークを見られるのが嫌だとか、そんなことは言えない状態だった。
 少しでも早く楽になりたくて、司先輩に言われるままうつ伏せになる。すると、少しずつほぐすように丁寧に揉まれた。
「どうしたらこんな硬くなるんだか……」
 呆れた声が聞こえてくる。
 そんなの、私だって知らない。
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