光のもとでⅠ
 毛布をたたむとゆっくり立ち上がり、木に囲われたその場を一歩一歩踏みしめるように歩いた。
 まだ霜が残っているところは踏むとザク、と音を立て、枯葉はシャクリ、と小気味良い音を立てる。
 人前で泣いたからだろうか……。
 苦しくて息が詰まりそうだった胸は、ほんの少しだけ余裕ができた気がする。
 ひとりで泣くのと人前で泣くのは何が違うのかな……。
 そんなことを考えながら、余裕のできたスペースに冷たすぎる空気を収納する。
 息をするだけで肺から凍ってしまいそうな寒さ。
 身体の中から冷える感じ。
 私はいっそう大きく深呼吸をした。
 心の換気には深呼吸が絶大だと唯兄が教えてくれたから。
 酸素供給のかげか冷気のおかげか、頭が少しクリアになった。
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