光のもとでⅠ
 でも、今は違う……。
 今は、手の内にあるものを失いたくなくて身動きが取れません。
 ツカサか秋斗さんか――。
 どちらかの答えを出したら片方をなくしてしまう気がして。
 ……そっか。……それが怖かったんだ。
 ならば、選ばなければいい――。
 それが、私の出した答えだった。

 御崎さんの手を頼りにパレスへ戻ると、女性従業員が待っていた。
「お部屋にお風呂のご用意が整っております」
 私の身体を気遣ってのことだと思った。
 でも、私には朗元さんとの約束がある。
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