光のもとでⅠ
 私は御崎さんに向き直り、
「あの、朗元さんをお待たせするわにはいかないので……」
「お嬢様、朗元様からご伝言を賜っております。ゆっくりとあたたまってからレストランの個室にいらっしゃるように、と」
「朗元さんが、ですか?」
「はい。お嬢様がとても冷えていらっしゃることをご心配されていました」
「では、あたたまったらすぐにお伺いしますとお伝えいただけますか?」
「かしこまりました」

 いつものように三十五度のお湯から足先にかけるも、痛くて温度を下げずにはいられなかった。
 四十度のお湯に慣れるまでどのくらい時間を要したのかわからない。
 でも、お風呂に入って正解だった。
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