光のもとでⅠ
「翠葉ちゃん、司は俺と姉さんのマッサージを頻繁にやらされているからポイントは心得ているし、割と腕はいいと思うよ」
「……必然と上達するくらいには注文が多かった、の間違いじゃなくて?」
 言いながら、頭に少しずつ指圧が加えられる。こめかみのあたりから徐々に徐々に頭全体へと加えられる力は本当に絶妙な力加減でとても気持ちが良かった。
「気持ち、いい……」
「それは何より……」
 ぶっきらぼうな口調とは裏腹なマッサージに司先輩らしさを感じる。
 見ただけではわからない。触れてみないとわからないところが司先輩そのものだ。
 しばらくすると頭痛が和らいできた。
「痛み……引いてきたみたいです」
「そう。良かった……でもね、長くはもたないんだ」
 楓先生はどこか申し訳なさそうに口にした。
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