光のもとでⅠ
「あとは駅の券売機での操作になります。では、参りましょうか」
「木田さんっ……木田さんがパレスを離れても大丈夫ですか? お仕事に差し支えありませんか?」
 木田さんはにこりと微笑む。
「大丈夫です。今、このパレスには副総支配人がふたりおりますので心配はご無用です」
「毎回毎回急で、本当にすみません」
「お気になさらず。さぁ、駅へ向かいましょう」
 木田さんに促され建物の外に出ると、エンジンがかかった車が待っていた。
 運転席には従業員であろう人が乗っている。
 木田さんは私を後部座席に乗せると昨日と同じように助手席に乗り込んだ。
「車に乗ってしまえばあとは車が運んでくれます。一時間ほどかかりますが――道は混んでないようですね。間違いなく予約した列車に乗れます」
 木田さんはカーナビの渋滞情報を見ていた。
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