光のもとでⅠ

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　蒼兄に電話をしてから会計を済ませ、美容院を出ると唯兄に言われた。
「何か、懐かしい感じだね」
　髪型のことを言われているのだとすぐに気づく。
「うん……懐かしい。それと、ちょっと落ち着く」
　短くなった前髪を触りながら答えた。
「今日、お母さんは？」
　今度は蒼兄が答えてくれる。
「まだ現場」
「そう……栞さんは？」
「今日は日曜日だからお休み。実はさ、リィが帰ってきたら鍋にしようって話してたんだ。家に帰ったら兄妹水入らずでお鍋だよ」
　そんな言葉すらくすぐったく感じる。
「お父さんとお母さんがいないのにお鍋？」
　私の言葉に兄ふたりは肩を竦め、口の前に人差し指を立てると、「内緒」と口にした。