光のもとでⅠ
「あのね……ずっと言えなくてごめんなさい。私、記憶が戻ったの」
 蒼兄の呼吸が一瞬止まったのがわかった。
 それに対し、唯兄は細く長く息を吐き出した。
 もしかしたら、唯兄はどこかからか気づいていたのかもしれない。
「いつ?」
 訊いてきたのは唯兄。
「インフルエンザで退院してきた日。この部屋に入ったときに気づいたの。いつ思い出したのかはわからないけど、自分で記憶が戻っていることに気づいたのはそのとき」
「そっか……」
 蒼兄は何も言葉を発しない。
 やっと口を開いたかと思ったら、私を心配する一言だった。
「大丈夫なのか?」と。
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