光のもとでⅠ
「何、あんちゃん」
「蒼兄、どうしたの?」
 唯兄の声と重なると、さらにクスクスと笑った。
「いや、俺がもうひとりいるなぁと思って」
「あ、やば……。過保護っぷりが伝染してるかも」
「そう言われてみれば、今までなら蒼兄に言われてたかも?」
 唯兄と顔を見合わせると、その場に三人の笑い声が響いた。

 十一月半ばにもなると朝晩が冷え込むため、コートを着てくる生徒がちらほらと増える。
 そして、今までは膝丈スカートの人が多かったけれど、急にロング丈のスカート人口が増える。
 足元は靴下から厚手のタイツに変わったり、学校指定の編み上げブーツになったりと変化は様々。
 辺りを見回し、私もそろそろコートを着ようかな、と考える。
 今はまだ、学園マークの刺繍が施されているボルドーのストールを羽織っているだけだった。
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