光のもとでⅠ
 代わりに、と言ってはなんだけれど、唯兄の部屋と蒼兄の部屋にはパソコンのディスプレイが二、三台はある。
 蒼兄は新聞派だし、唯兄はパソコン派。
 私もお母さんも必要な情報はネットから得る程度で、とくにテレビの必要性は感じていない。
 幸倉の家にはテレビがあるけれど、それの電源が入るのはDVD観賞のときくらいなものだった。

 車に乗ると蒼兄に尋ねられる。
「身体の痛みは?」
「昨日施術してもらったからかな? そんなにひどくはないよ」
「でも、痛いのか?」
「このくらいは仕方ないと思う。でも、我慢できないわけではないし、お薬で少し軽減されてるから大丈夫」
「帰り、つらいようなら唯に連絡するか俺に連絡入れるかしろよ? 夕方には母さんも帰ってきてるはずだから」
「うん。……今日はね、放課後に秋斗さんのところへ行くの」
「……記憶が戻ったことを話しに?」
 蒼兄の声が少し硬くなった。
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