光のもとでⅠ
 昼休み、私の脈拍は百を超えた。
 どうしてって、ツカサが現れたから。
 それも、思いもしない用事で。
 いつもなら教室の後ろのドアから呼び出されるのに、今日は違った。
 人の視線を集めながら私のもとまで歩いてくると、
「弁当、一緒に食べようと思って」
 ツカサは海斗くんの席に座ると何事もなかったかのように、手に持っていたお弁当の包みを解き始めた。
 いや、本当は海斗くんの席には海斗くんが座っていたのだけど、たった一言で海斗くんを退けた、というのが正しい。
「海斗、邪魔」
「すみません……」
 これだけのやり取りだったと思う。
 なんというか、私も海斗くんもツカサの行動に唖然としてしまって、何か言われてまともな反応を返すことができなかったのだ。
< 7,380 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop