光のもとでⅠ
 はっと我に返ったときにはツカサがお弁当の蓋を開けていた。
「つ、ツカサっ、どうして急にここでお弁当っ!?」
「なかなか翠と会う時間がないから?」
 お箸を持ち、しれっと答えては無駄のない美しい動作で煮物の里芋を口に運ぶ。
 どうしよう……。
 ツカサがすごく近くにいる。
 自分との間には机ひとつ分の距離しかない。
 お弁当を食べるつもりで机にお弁当を広げたけれど、果たして喉を通るのか……。
 思わず、今から変更してサーモスタンブラーに手を伸ばしてしまいそうだ。
 それでも、「飲む」という行為をしなくてはいけないことに変わりはない。
「食べれば?」
「あ、はい……」
 教室中がしんとしていた。
 確認せずともみんなの視線がツカサに集まっているのがわかる。
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