光のもとでⅠ
 でも、なんだか秋斗さんらしい……。
 お茶は結局秋斗さんが淹れてくれ、私たちはダイニングテーブルで向かい合わせに座っていた。
 秋斗さんは、「用件は?」とは訊かない。
 体調のことや今にも雨が降り出しそうな天気のこと、他愛のない話が続く。
 ここで秋斗さんと話をしていて、久しぶりに居心地がいいと思えた。
 けれど、このまま話し続けていたらいつになっても本題を話せない気がした。
 だから、不自然すぎる間合いで本題を切り出した。
「秋斗さんっ」
「うん?」
「私、記憶……戻りました」
「うん……」
 私はカップに落としていた視線をすぐに上げる。
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