光のもとでⅠ
「恥ずかしいことなんだけど、車の手入れは自分がやってるわけじゃないんだよね。乗って帰ってくると、コンシェルジュが手入れをしてくれる。それだけなんだ」
 珍しく、秋斗さんが肩を竦めて見せた。
「あの、コンシェルジュの方たちはマンションの車全部お手入れされるんですか?」
 秋斗さんは笑いながら、
「さすがにそれはないよ。藤宮の人間の車だけ。ま、洗車代行は予約すればやってもらえるけどね」
 改めてウィステリアヴィレッジの至れり尽くせりなサービスに感嘆する。
 マンション敷地内に車が入ったとき、携帯電話が震えた。
 私は秋斗さんに断りを淹れてからそれに出る。
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