光のもとでⅠ
「俺、今少し動揺してるんだけど、聞いてもらえる?」
「え……?」
 隣を見ると、秋斗さんは困った顔をしていた。
「キッチンは良かったんだけどな……。ここ、暗い、よね?」
 最後は一言一言区切って訊かれた。
 言われてみれば、キッチンは明かりが点いたままで明るい。
 そして、その前にあるダイニングにはダクトレールに吊るされたペンダントライトが点いている。
 けれど、私たちのいるリビングには明かりというものがついていない。
 窓からの採光を望める時間帯はもう過ぎてしまった。
「暗い、ですね?」
 答えたあとに天井を見上げてみたけれど、通常あるべきものがそこにはなかった。
 つまり、シーリングライトやシャンデリア、照明と呼べるものがついていないのだ。
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