光のもとでⅠ
「つらいよりも、どうしようって思いました。色々と考えなくちゃいけないことがあるのに、やらなくちゃいけないことがあるのに、理由をつけて目を背けたくなるくらい……そのくらいどうしたらいいのかわかりませんでした」
「そうだね……。どうしたらいいのかわからなくなると逃げたくなるよね。俺は経験者だよ」
 秋斗さんがクスリと笑う。
「これは聞いてないだろうな」
「何をですか……?」
「俺ね、君が記憶をなくしたあと、仕事を放ったらかして山中に逃亡したの。なんだろうねぇ……どうやってそこまで行ったのかほとんど覚えてないんだ。気づいたときには司が目の前にいて、怒鳴られて殴られた」
「……ツカサがですか?」
「そうなんだ。そのくらい俺が使いものにならない状態で、司に手厳しいことあれこれ言われてようやく正常モードが起動」
< 7,435 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop