光のもとでⅠ
「俺も翠葉ちゃんも引けないよね?」
「はい、無理です」
「だからさ、それは想いの強さが同じってことにして『相殺』にしない?」
 ――相殺。
「俺も全面的には納得できないし呑み込みづらい。でも、どこかで折り合いを付けていかなくちゃいけないと思うんだ。……翠葉ちゃんはどう思う?」
「……難しいです」
 秋斗さんはとてもわかりやすく話してくれていると思う。
 それでも、気持ちを沿わせることはひどく難しかった。
 自分を責める気持ちをなくしてしまったら、私はツカサを諦められなくなってしまうだろう。
 そんな都合のいい人間にはなりたくない。
 秋斗さんとツカサのどちらかを選ぶこともできなければ、どちらを失うことも受け入れられない。
 それこそが都合のいいことだとしても、私はこの先もふたりと長く付き合っていきたい。
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