光のもとでⅠ
 そのためなら、「想い」と引き換えにしてもかまわない。
 十年先も二十年先も、ずっとずっと――。
 そのためなら、きっと「想い」を諦められる。
 私はそう信じて疑わなかった。
「今わかっていることは、どっちにしろ俺たちを責めて楽にしてくれる人はいない。だから、俺たちは楽にはなれないんだ」
「……そうですね。――自分の何がひどいかというならば、謝りたいとは思っているのに、反省だってしているのに、それでも許されることを望んでいないこと」
「……そんなところまで同じなんだね」
「私は何を望んでいるんでしょう……」
 秋斗さんはほんの少しだけ間を置いた。
「きっと、傷つけたことを忘れないように、心に刻み付けてずっと持ち続けることだと思う」
 その言葉は胸にストンと落ちた。
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