光のもとでⅠ
「碧さんが……?」
「はい」
 秋斗さんは右手で額を押さえる。
「秋斗さん……?」
 額に当てていた手を滑らせ、柔らかそうな髪をかき上げた。
 明るい瞳は焦点を定めず宙を彷徨う。
 その様は何か戸惑っているように見える。
 秋斗さんは近くに壁にもたれかかりうな垂れた。
「俺さ、色々あってから零樹さんには会いに行ってるんだけど、碧さんにはまだ会ってないんだよね」
 言ったあと、追加でポロポロとひとり言のように話す。
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