光のもとでⅠ
 一度キャンセルした藤山散策は日曜日に再設定され、私は朝からそわそわしながら過ごしていた。
 あまりにも落ち着きがなかったからか、蒼兄にソファに座るよう促された。
「司と紅葉を見に行くんだろ?」
「うん……」
「なんでそんなに困った顔?」
「……だって、気まずいんだもの」
「気まずいだけ? 司と一緒に紅葉見れるの、嬉しくない?」
「……紅葉を見れるのは嬉しい。ずっと藤山の紅葉を見に行きたいと思っていたから。でも……」
「でも?」
「……ツカサと何を話したらいいのかわからない」
「……そっか。でも、会ってみたら意外と普通に話せるものかもよ? この間だって秋斗先輩と普通に話せたんだろ?」
「うん……」
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