光のもとでⅠ
 そして、
「じゃ、俺は大学にいるから」
 隣にいた蒼兄が一歩下がった。
 それだけで不安が押し寄せてくる。
 でも、蒼兄は留まってくれそうにはない。
「何かあれば電話しておいで。俺も私道に入る許可は得ているから」
 いつものようにおまじないをしてくれたけど、今日はそれだけでは足りなかった。
 少しずつ遠くなる蒼兄の背中を見ていると、
「いい加減進行方向向いたら?」
 背後からツカサに声をかけられビクリとする。
 慌てて返事をしてツカサのあとを追った。
 歩き始めたけど隣には並ばない。
 一、二歩先を歩くツカサの足元を見ながら歩いていた。
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