光のもとでⅠ
 秋斗さんにプレゼントされたストラップには繊細なつくりの葉っぱと立体的なハートがバランスよく並んでいた。
 そこにとんぼ玉を通すとセンスを疑われそうなほど不釣合いなストラップとなる。
 誰が見ても一緒のチェーンに通してあることが不自然に思えただろう。
 さらにはもうひとつ、ちぐはぐついでに唯兄からもらった鍵を通していた。
「この鍵は?」
 訊かれた私は携帯を手に持ち答える。
「これは唯兄からもらった大切な鍵なの」
「ふーん……」
 誰にもわからないだろう。
 これらに共通点があるなんて。
 どれだけ不釣合いでも、私にとっては「大切なもの」という共通点で結ばれている。
 あともうひとつ――。
 それは「携帯」そのもの。
 携帯がこんなにかけがえのないものになるとは思ってもみなかった。
 メールの履歴や録音された声。
 人とつながっていると目で見て実感できるもの。
 今の私にとって、携帯とは人とつながることのできる大切なアイテムになっていた。
 このときは、まさかなくすことになるとは思いもせずに――。
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