光のもとでⅠ
 焦る気持ちに任せて席を立ったら眩暈を起こした。
 大丈夫……少し座っていれば落ち着く。
 真っ暗な視界の中、ただひたすらに「大丈夫」と唱える。
 それが体調に対するものなのか、携帯に対するものなのか、境目はほとんどなかったと思う。
 視界が戻ると今度は慎重に立ち上がり、かばんとコートを手に持って教室を出た。
 階段を下り下駄箱へと急ぐ。
 下駄箱を開け靴に手をかけると、指先に何かが触れた。
 私は驚き手を引っ込める。
 右の靴に何か入っていた。 
 靴の中をそっと覗き込むと白いものが見えた。
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