光のもとでⅠ
 私のすぐ側までツカサが来て、
「大丈夫か?」
 声をかけられたけど、何も答えることはできなかった。
 ……遅いよ。ツカサ、遅い。
 携帯はもう池の中だ。
 ビデオに撮る余裕があったのなら、どうしてその前に止めてくれなかったのっ!?
「武明さん、その人を学校長のところへ連れていってください」
「かしこまりました」
 警備員さんが彼女へ歩みを向けたとき、
「待ってっっっ」
 私はその間に入り、ぐっと歯を食いしばる。
「翠……?」
 ツカサはひどく怪訝な顔をしていた。
< 7,497 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop