光のもとでⅠ
「あとから出てきて何よ……。カメラを持っているならこれから私がすることも全部撮っておいてっ」
「何を――」
 ツカサの声を聞きながら、池を背にした彼女に近づく。
「な、何よ……」
「……なんでもないわよ」
 答えた声は震えていた。
 怖いからじゃない。恐れからじゃない。
 今私が感じているのは怒り。
 なんでもない――なんでもないなんでもないなんでもない……。
 呪文のように唱えてみるけれど、だめ。無理だ。
 なんでもないわけがない。
 大切なものを侮辱された。
 大切なものを池に落とされた。
 こんな感情、抑えられるわけないじゃないっっっ。
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