光のもとでⅠ
 何がどうしてこんな状況なのか……。
 これだけの人が集まっているのには理由があるはず。
 なのに、私だけがそれを知らない気がした。
「期末考査前に熱出して悲惨な成績取ったら目も当てらんないよ? あんちゃんのあと、追っかけてるんでしょ?」
 唯兄が私の側まで来て言う。
「何が――何が、起きているの?」
「……詳しいことはあとで話そう?」
 ザバっ――。
 池に視線を戻すと、三人ともが顔を出していた。
 息継ぎに上がってきたという感じではない。
 みんなが岸辺に近づいてきていた。
 久先輩が一番に上がり、笑顔で「あったよ」と教えてくれる。
 次に優太先輩が上がると、池に残るツカサに手を貸す。
 ツカサはその手に引き上げられるようにして池から上がった。
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