光のもとでⅠ
「あぁ、そういえばそんなことを言っていたな。だが、そのときにも言ったはずだ。取らなくてはいけない責任を放棄するほど非道ではない、とな」
「じゃぁっ、もっとうまくやってくださいよ」
「それは司の力量の問題だ」
 唯兄は肌で感じるほどにピリピリしていた。
 ツカサの力量とはなんの話か……。
「私も会長も、翠葉ちゃんに話すなとは一言も言っていない。彼女に話さなかったのは司の意思だろう?」
「オーナーっっっ、それ以上話したら噛み付きますよっ!?」
 言いながら、唯兄が堪え切れないといった感じで立ち上がる。
 口調的にはすでに噛み付いていた。
 静さんは一言、「若槻」と名前を呼び制止する。
 それでも唯兄は引かなかった。
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