光のもとでⅠ
 でも、食べられる気がしない。
 さっきホットミルクを飲むのもやっとだった。
 ものを飲み込むのがひどく難しい。
 それは体調的なものではなく、きっと気持ちからくるものだとわかっているけれど……。
 お母さんがため息をつく。
「……今無理に食べさせたところで戻すだけかもしれないわね。わかったわ、翠葉はあと。唯はちゃんと食べなさい。蒼樹、唯のこと見張っててよ?」
「頼まれた」
「翠葉、スープなら飲めそう?」
 訊かれて首を振る。
「仕方ないわねぇ……。じゃぁ、原液ポカリの刑ね? 三百五十ミリリットルは飲ませるわよ?」
 最後の疑問符に意味はない。
 強制、決定事項――反論や返事は求められていない。
 私はキッチンからタンブラーを片手に戻ってきたお母さんに付き添われ、ダイニングをあとにした。 
 誰にも何も言わず、ただ頭だけを下げて。
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