光のもとでⅠ
 紅葉祭一日目の朝、あんなに顔を強張らせて打ち明けてくれたのに。
 私は「大丈夫」と言ったのに。
 自分が関わりたいから関わっていると、巻き込んでごめんなんて謝らないでほしいと、自分が言ったのに。
 それなのに私は――。



 ポカリを飲んでいたことまでは覚えている。
 携帯を渡されたことも覚えている。
 けれど、それ以降の記憶がひどく曖昧だった。
 いつ薬を飲んだのか、いつベッドに横たわったのか。
 その辺りの記憶があやふやすぎる。
 いつから唯兄と手をつないでいたのかもわからなくて、それが寝ていたからなのか、気持ちが悪いくらいにはっきりとしない。
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