光のもとでⅠ
「あ……携帯」
「バイタル?」
 訊かれて、「違う」と首を横に振る。
「私の携帯、持っていてくれてありがとう……。ダミー携帯、持たせてくれてありがとう」
 唯兄は力なく笑う。
「力不足だったけどね。俺には携帯の代わりを作ることしかできなかった。リィが大切にしているのは携帯本体だけじゃないでしょ?」
 私はずっと握りしめていた携帯を見つめる。
 ストラップやとんぼ玉、鍵がすぐ目についた。
「それらの代わりを用意することはできなかったし、それを救出してくれたのは司っち。お礼は生徒会の彼らに言わないと」
「っ……」
「リィ、逃げちゃだめだ」
 つながれていた手をぎゅっと掴まれる。
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