光のもとでⅠ
「誰に何を言わなくちゃいけないのかはわかってるよね?」
 コクリ、と頷く。
「わかってることから逃げちゃだめだ。自分にできる精一杯のことをしなくちゃ。本当に大切なのは物じゃない。人、でしょ?」
 唯兄の言葉がズシンと胸に響く。
 まるで、大きな岩が落ちてきたみたいだった。
「人を大切にしたいなら物を握りしめているだけじゃだめだよ。人はさ、物よりも脆いことがあるから。大切ならちゃんと大事にしなくちゃ」
「でも、怖い。許してもらえるか怖くて仕方ない」
 声が震えた。それに答えた唯兄の声は、
「怖いのなんて誰も一緒」
 一切揺るがなかった。
 すると、部屋のドアが静かに開いた。
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