光のもとでⅠ
 イヤホンを片方唯兄に取られる。
「涙の理由、教えて?」
「これ、聴いて?」
 そのままイヤホンをするように伝えると、唯兄は私の隣に並んで曲を聴き始めた。
 ベッドを背にしてふたりお布団を膝にかけた状態で曲を聴いていた。
 正面のドアが開き、お母さんがスープカップをトレイに載せて入ってきた。
 私と唯兄を見てクスクスと笑ってからトレイをローテーブルに置く。
「飲みなさい」
 それだけを言い残し、すぐに部屋を出ていった。
 私と唯兄はスープを飲みながら、優しい音楽をずっとリピートさせて聴いていた。
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