光のもとでⅠ
 気持ちは固まっていた。
 怖いものは怖い。
 でも、立ち止まっていても怖いものはなくならない。
 だから、対峙しに行く。

 昨夜一睡もしていない唯兄の運転は却下された。
「仮眠程度だけど少しは寝てる俺のほうが安全」
 そう言って蒼兄が引かなかったから。
 唯兄は「へいへい」と言いながら自分も同行させることを認めさせて承諾した。
「今回は格好いいとこ全部俺が持っていくつもりだったのに」
「そんなことが許されると思わないように。初代あんちゃんは俺なの」
 唯兄と蒼兄が口端を上げながら言葉を交わす。
 それを見たお母さんは、ぷっ、と吹き出すほどに笑った。
 私は、家族だな、って……。家族ってあたたかいなって――。
 目で見て、耳で聞いて、肌で雰囲気を感じて心に栄養を補充した。
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