光のもとでⅠ
「あのっ――」
「うん、とりあえず中に入ろうか?」
 ポンポン、と背中を叩かれ玄関に入るよう促される。
 玄関はスポットライトが点いていてとても明るかった。
「こんな時間にすみません……」
「大丈夫、待ってたから」
「え……?」
 明るい照明の下で久先輩がにこりと笑む。
 髪の毛が光に透けて金色に見えた。
「今の司を救えるのなんて翠葉ちゃんしかいないでしょ?」
 私は言葉に詰まる。
 それはどうだろう……。
 私はただ謝りに来ただけで、許しを請いに来ただけなのだから。
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