光のもとでⅠ
「悪いけど、今顔は見られたくない」
「……どうして?」
「……目が充血してる」
「……暗いところじゃ充血までは見えないと思う」
「それでも気分的に許容できない」
 ツカサはとても頑なだった。
 目の充血なんて誰にでも見られる症状だ。
 夜更かしをしたり泣いたら――。
 見られたくない目の充血の理由は泣いたから……?
 察しはついたけれど話しにくいことに変わりはなく、心臓の駆け足も体調的にきつくて再度提案を試みる。
「顔を見なければいいの?」
 それは私にとってあまり嬉しくない妥協案。
 だって、私は顔を見て話すためにここに来たのだから。
 でも、全部が全部思うように進むわけではない。
 話をしてくれるのなら妥協できるところは妥協する。
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