光のもとでⅠ
 顔を見ずに話すのにはどうしたらいいか……。
 私に思い浮かぶものなんて高が知れている。
 以前、唯兄としたことのある背中合わせ。
 それしかない。
「ツカサ、背中合わせじゃだめ……?」
「背中合わせ……?」
「うん……この体勢で話すのはちょっとつらい」
「……別に話さなくていいけど」
「……話をするためにここに来たんだもの」
「俺の話、聞いててくれるだけでいいんだけど」
「……話してくれるの?」
 私の「ごめんなさい」は聞き届けられたのだろうか。
 体勢云々の前にそれを確かめたかった。
「ツカサ、許してくれるの?」
 不安に胸が潰されそうになりながら尋ねる。
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